思いを伝える。

2019/2/8 靴屋の思い

靴屋です。

今年は、とにかく外へ出て対面での販売を増やす事を目標にしました。
それは、やはり僕のヒトトナリを知ってもらう事、
生み出した靴への思いを伝えたいと素直に思うようになった事、
があげられます。

これまでは、対人恐怖症までは無いにしろ、とにかく世間体が気になって外界との接触を極力避けたいという考えがありました。
ネット販売への移行も地元で売れない、これからはネット販売だ、という戦略風に行いましたが、本当は、人との接触を避けるのが、1番の目的だったのだと、振り返ってみて分かりました。
目標を新たにしたことによって、面白いように色んな事が決まっていく様は、実に気持ちよく、僕にこれまでの事、これからの事を話す機会を与えてくれるかのようでした。
パニオさんでの受注会で、久々に靴屋を始める原点になった事柄を話す機会をお客様から与えてもらいました。

靴屋オープン当初は、よく話していたのですが、その事を売りにしているような嫌悪感にかられ、いつからか口に出す事ができなくなっていました。
純粋に靴屋として5年間まっとうし、靴屋として堂々と生きていけるようになったので、久々にそのことについて触れたいと思います。

前職は、障害者福祉の現場に携わっており、障害者の方たちのヘルパーや相談を受ける仕事をしていました。
ほとんどの相談が、働きたいのに働く場がない、というもので、私の力では何も解決することができず、無力さに苛まれる日々でした。
その無力感から、自分の周りの障害者の方だけでも働かせてあげられたらという、おごりの様なものから飛び込んだ靴業界は、当然、そんなにあまいものではなく、苦戦の連続でした。
右も左も分からず、ハンドメイドという自由で、柔らかで、温かなイメージとは、かけ離れた状況の中、工程を変えたり、道具を変えたりといった、ちょっとしたことが、クオリティを左右し、時間短縮になるというプロセスの面白さに取りつかれていきました。また、どんなに科学が進んでも機械では作れない工程があり、その掌の偉大さを知り、その技術を身に着けていく快感を得ることに夢中になっていました。
それでも、障害者の働く場の創出とハンドメイドの非効率の溝がどうしても埋められず、マシンメイドの靴を作るという外注案も考えましたが、自分の作りたい働く場は、ハンドメイド以外想像できませんでした。
ハンドメイドでは、この工程は、あの人にできるのでは、あの工程は、あの人に向いているのでは、と想像できるほど工程が多い、という利点があります。
何より効率化から取り残されてきた障害者の方が、堂々と働いていると実感できるには、1日1針でも、この靴の一部を担ったという経験を積み重ねることができる場所だと思います。
そういう場を作るという信念だけで、これまでやってきました。
昨年からは、製作足数が増え、展示会等に出られるようになり、知り合いの障害者の方と集まり、靴を作ったり、作業所の計画を練ったりと少しずつ夢が現実となってきました。
振り返れば、結局自分の居場所作りをしているのだな、と気付かされたところもありますが、ハンドメイドを通して、支援される側の障害者が支援する側になる、そんな面白い事ができるのを夢見ております。
お客様に、歩くのが楽しくなるおでこ靴と、おひとりおひとりの購買が、障害者福祉を充実させているという実感とをお届けできる日が、少しずつ、夜明け前の茜色に染まる東雲の様に見えてきました。

東雲といえば、弊社の新作「東雲」をやっとホームページにアップする事ができました。

また、3/13~16に東京の代々木公園近くのワインバーにて単独で展示会を開催する事になりました。詳細は改めて発表いたしますので、チェックお願いいたします。